3月19日(水)、公開質問状の回答が岩国市から戻ってきました。「施政方針演説をコピー&ペーストしたもの」という酷評もありましたが、読んでみると、あらためて問題点が浮かび上がってきます。
例えば、全く同じ文言が繰り返し使用されている個所があり、まさに「施政方針演説をコピー&ペーストしたもの」という酷評の通りだと思わせます。
また、「具体的に」と訊いているのに、具体的な数値や方法を示していません。「現実的かつ具体的な取組を通して」といった文言が回答にありますが、具体性を欠いています。
「岩国基地への空母艦載機等の移駐に関しては、その負担の緩和に一定の配慮がなされていることから」という文言もありますが、根拠が示されていません。
しかし一方で、「基地機能が変更される際には、その影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合及び十分な安心・安全対策が講じられると認められない場合には、これを容認できないという立場を基本姿勢として堅持する考えであり」「激しい騒音をもたらすNLPについては、岩国基地での実施は容認できないとの姿勢を改めて明確にしております」「市民の立場に立って、市民の声によく耳を傾け、国に対して言うべきことはしっかり言う」等とも書かれており、そういった個所は、守らせて行かなければならないのではないでしょうか?
H19基地第861号
平成20年3月13日
瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク
代表世話人 河 井 弘 志 様
岩国市長 福 田 良 彦
公開質問状に対する回答について
平成20年2月26日付けで提出された公開質問状について、下記のとおり回答します。
記
(質問1)
貴職は市長選挙において、国のいいなりではなく、騒音および治安問題など住民の立場で安心安全な生活環境を整えるべく、具体的な交渉をすると公約されて当選されました。具体的な交渉とはどのようなことか具体的にお答えください。
(回答)
再編に係る閣議決定や再編特別措置法の趣旨を踏まえつつも、市民の立場に立って、市民の声によく耳を傾け、国に対して言うべきことはしっかり言うことにより(*1)、騒音や治安の問題への適切な措置を担保するなど、実効ある安心・安全対策を確保するという現実的な取組が必要であると考えております。
そのためには、市議会の意見を十分に聞き、山口県の協力と支援を得ながら、市民の安心・安全に関する国との具体的な協議を通して、市民の不安を一つ一つ払拭していくことにまず最大限の努力を傾注する所存であります。
今後庁内においては、早速、『空母艦載機等の移駐問題対策検討プロジェクトチーム』を立ち上げ(*2)、安心・安全対策等を検討することとし、また、県と市による事務レベルの検討協議会も立ち上げることとしており、そうした中で国への要望事項を整理することとなると考えております。
是非とも「市民の立場に立って」「国に対して言うべきことはしっかり言」って欲しいものですね。
この『空母艦載機等の移駐問題対策検討プロジェクトチーム』にも、「市民の立場に立って」頑張って貰いたいものですね。
(質問1−2)
「住民の立場の安心安全な生活環境」とは、貴職はどのような環境をお考えですか具体的にお答えください。
(回答)
基地機能が変更される際には、その影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合及び十分な安心・安全対策が講じられると認められない場合には、これを容認できないという立場を基本姿勢として堅持する考えであり(*1、*2)、これが、住民福祉の増進を基本とする自治体本来の役割と考えております。
今後においては、基地機能が変更される際には、その影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合及び十分な安心・安全対策が講じられると認められない場合には、これを容認できないという立場を基本姿勢として堅持する考えであります。(*3)
具体的には、騒音、安全性、大気等への影響及び事件・事故に関する事項等総合的に勘案し判断すべきであると考えております。
なお、激しい騒音をもたらすNLPについては、岩国基地での実施は容認できないとの姿勢を改めて明確にしております。(*4)
そもそも「現状」とは何なのかが明らかではないことが問題である訳ですが。
「基地機能が変更される際には、その影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合及び十分な安心・安全対策が講じられると認められない場合には、これを容認できない」ということは、厚木基地空母艦載機部隊の移駐とは別に米本土から海兵隊F/A-18Dホーネットの中隊が移駐されることなどにも反対ということですね。
前のパラグラフの文言と、ほとんど同じ。
NLP(夜間離着陸訓練)には断固として反対を貫いて貰いましょう!
(質問2)
選挙期間中のマスコミ報道によりますと、騒音を我慢の限度内に抑えることを国から約束を取り付けるとのことですが、貴職は我慢の限度内とはどの程度のことをお考えですか。具体的にお答えください。
(回答)
騒音の影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合及び十分な安心・安全対策が講じられると認められない場合には、これを容認できないという立場を基本姿勢として堅持する考えであります。
また、激しい騒音をもたらすNLPについては、岩国基地での実施は容認できないとの姿勢を改めて明確にしております。(*1)
「具体的に」と訊いているのに、数値等の具体的なことに触れていませんね。
(質問1−2)の回答に全く同じ文言あり。
(質問2−2)
国から約束を取り付けるとは、どういう方法を考えておられますか。具体的にお答えください。
(回答)
再編に係る安心・安全対策について、国に対する要望・協議事項をまとめ、国と協議していきたいと考えていますが、その具体的な対応方法については、市議会での議論も踏まえながらできるだけ早急に検討していきたいと考えています。(*1)
ここでも「具体的に」と訊いているのに、例えば文書で確認する等の具体的なことに触れていませんね。
市民との議論が入っていませんね。
(質問3)
世論調査によると60%を超える市民が艦載機移駐に対して反対の声をあげています。福田市長は市民党を掲げておられますが、この市民の声をどのように受け止めておられますか。
(質問4)
多くの市民が連日起きている米兵の暴行事件に対して、不安に感じています。政府が岩国市内に米軍住宅を造ると提案してきた場合、市民の安心安全を守る立場の市長として、貴職はどのような立場をとられますか。
(回答)
今回の米軍再編については、日本の防衛のみならず、アジア太平洋地域や国際社会の平和と安定にも重要であり(*1)、その円滑かつ着実な実施の必要性は理解しているところであり、また、岩国基地への空母艦載機等の移駐に関しては、その負担の緩和に一定の配慮がなされていることから(*2)、基本的には協力すべきものと認識しております。施政方針を既に発表いたしましたが、この内容は私が選挙で訴えたことと、選挙を通して受け止めた民意の最大公約数をまとめたものです。また、国の安全保障政策を理解する一方、安心・安全の確保を訴えることは、自治体として当然の責務であり、自治の基本であると考えております。市としては、これを基本としつつ、現実的かつ具体的な取組を通して、国と自治体行政との接点を見出していく考えであります。(*3)
ここでも訊いていることに具体的に答えていませんね。
そもそもここで言う「アジア太平洋地域や国際社会の平和と安定」とは、アメリカにとって都合のよい「平和と安定」ではないでしょうか? アフガニスタンやイラクで米軍が一般の人々を殺していることからもわかるように。
何をもって「負担の緩和に一定の配慮がなされている」と言えるのか、根拠が示されていません。
「国の安全保障政策」と住民の「安心・安全の確保」との接点が見つからない場合にどうするのか、住民の側に立ち抜くことが出来るのかが問われているのではないでしょうか? また回答が具体性を欠いているのは、これまで指摘してきた通り。
(質問5)
現在でも、岩国基地から飛び立った米軍機の爆音被害などが、岩国市をはじめ、周辺自治体の住民に対しても及んでいます。これに対して貴職はどのようにお考えですか。
(回答)
基地は、我が国の防衛・安全保障を維持していく高度な政治目的により存在するものですが、そのために特定の地域の住民が苦痛を負わされることがあってはなりません。(*1)
こうした立場で、今後とも、住民の生活に著しい影響を与えるような基地運用については、市民の立場に立った強い姿勢で、国及び基地に対して、対応していきたいと考えております。(*2)
特定の地域の住民が苦痛を背負わされることがしょっちゅうある訳ですが。
是非とも「市民の立場に立った強い姿勢で、国及び基地に対して対応し」抜いていただきたいものですね。
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